コラム 2026.05.26
「金の方が高いから、金の方が希少なんですよね?」
最近よく聞かれる質問です。
確かに現在の相場を見ると、金はプラチナより高値で推移しています。
しかし実は、“価格が高い=希少価値が高い”とは一概には言えません。
特に金とプラチナは、同じ貴金属でも「価値の成り立ち」が大きく異なる存在です。
今回は、金とプラチナの違いを、相場の背景や歴史、用途などを交えながら分かりやすく解説していきます。
今では少し意外かもしれませんが、2015年頃まではプラチナの方が高価な金属として扱われていました。
ジュエリーショップでも、
というイメージを持たれていた方も多いと思います。
実際、プラチナは採掘量が非常に少なく、希少性だけで見ると金よりレアな金属です。
世界全体で見ると、これまで採掘されたプラチナの量は金のほんの一部しかありません。
それほど希少な金属でありながら、なぜ現在は金の方が高くなっているのでしょうか。
転機となったのは、2015年に起きたフォルクスワーゲンの排ガス不正問題でした。
当時、プラチナ需要の大部分はディーゼル車向けの自動車部品に依存していました。
しかしこの問題をきっかけに、世界中でディーゼル車離れが加速。
結果として、
「プラチナを大量に使う市場」
そのものが急速に縮小してしまったのです。
需要が減れば価格も下がる。
非常にシンプルな市場原理です。
一方、その頃から金は逆に注目を集め始めます。
金は昔から“安全資産”と呼ばれています。
経済不安や戦争、金融危機など、「先が読めない時代」になるほど価値が上がりやすい特徴があります。
近年だけでも、
など、不安要素は次々と発生しました。
そのたびに「現金より金を持っておきたい」という動きが強まり、金価格は上昇を続けています。
つまり現在の金価格には、“希少性”だけではなく、“世界的な信用”が含まれているのです。
ここは意外と知られていません。
実際の産出量を比較すると、プラチナは金より圧倒的に少ない金属です。
単純な“レア度”で言えば、プラチナの方が希少なのは明らかです。
ただし市場価格は、「どれだけ欲しい人がいるか」で決まります。
つまり、
ということです。
現在の金は、まさに後者と言えるでしょう。
この2つは、用途にも大きな違いがあります。
金は「資産」として保有される割合が非常に高いのが特徴です。
プラチナは工業需要との結びつきが強く、景気の影響を受けやすい傾向があります。
そのため、世界経済が悪化すると価格も下がりやすくなります。
とはいえ、プラチナの価値が低いわけではありません。
むしろ最近では、
などでの活用が期待されており、「将来的に再評価される可能性がある金属」として注目されています。
現在の価格が比較的落ち着いていることから、
“今のうちに保有しておきたい”
と考える投資家も少なくありません。
これは投資スタイルによって答えが変わります。
どちらが正解というより、「何を目的に持つか」が重要なのです。
現在の市場では、金の方が高値で取引されています。
しかし、地球上に存在する量だけを見ると、実はプラチナの方がはるかに希少です。
金は「信用」で価値を維持し、
プラチナは「希少性」で価値を持つ。
似ているようで、実は全く性格の違う貴金属なのです。
これから先、世界経済や技術革新によって相場は再び大きく変わる可能性があります。
だからこそ、“今の価格だけ”を見るのではなく、その背景にある需要や時代の流れまで知っておくことが、資産選びでは大切なのかもしれません。
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